犬も歯みがき

飼い主さんに「犬の歯みがき、してますか」と聞きますと、「できるの?」とか「させてくれなくて困っちゃう」そんな言葉が返ってきます。今回は歯みがきのコツを紹介しましょう。

歯みがきの慣らし方
@まず、口の近くを触る練習です。あごの下に軽く手を添えて、鼻の上や唇をそっとなでてあげます。
Aそれができたら、鼻づらを包み込むようにして、口を軽く閉じる練習です。この時に、「いい子だね」と優しく声をかけてあげるとよいでしょう。これは、「人がリーダーですよ」と伝えるマズルコントロールにもなります。
B次に、唇を少しずつめくり上げたり、歯の表面を触ったりします。ついでに、人差し指で歯の表面をそっとこすってあげるとよいでしょう。
C最後に、ガーゼを指に巻いて湿らせ、歯の表面をていね いにこすります。酵素入りの動物用歯みがき液や、ペーストをつけると効果的です。
D歯ブラシも有効ですが、できるだけヘッド(先)が小さく、毛先の細く軟らかいものを選びます。力を入れずに歯肉溝(歯肉と歯の境)をブラッシングします。

大切なことは、次の3つです。
@1つでも、できたらほめる。無理をして先に進めない。
A歯みがきの練習のすぐあとに、好きなことや楽しいことをごほうびにしてあげる。
B小さい頃から時々歯みがきの練習をしていると、生活の一部になってあまり嫌がらない。

歯周病は、痛い、臭いばかりでなく、心臓病・腎不全・肝障害などを併発しやすいので、上手にがんばりましょう。


今何飼ってる?


動物別の初診来院数のデータをときどき出している。これが”ライセンスを通して社会をみている”といってもいいような推移をみせることがある。
日本経済が繁栄上昇していると誰もが錯覚していたときは、大型のハスキー犬の飼育が流行した。小さな庭でも皆大型犬を飼いたがっていた。
その後、バブルがはじけ、ハスキー犬はいつのまにか消えていった。代わりに急上昇してきたのがハムスターである。
10年前からコンスタントに上昇を続け、今もそのペースを落とさないのがウサギ。今月のデータでは、犬についで2位になった。犬はTVコマーシャルで人気の小型犬がここ数年人気で、ミニチュアダックス・まめ柴・チワワが増えている。
ネコは時代を問わずマイペースで、25-30%を維持しているから面白い。
不透明な時代でも動物に愛しさ、安らぎを求める人の心は変わらないようだ。今日も私たちの病院の待合室は、癒された人たちのおしゃべりで盛り上がっていて、楽しい空間となっている。


ターゲットは団塊

どの業界もターゲットは50代という。動物園ですら少子化で子どもの入園数は伸び悩み、団塊世代向けにスロープをつけ、森林浴ムードを加え、レストランのメニューも低カロリーに模様替えとか。
さて、動物病院は?というと、こちらも子育てに一段落した夫婦が、共通の趣味といっても今さら。。。。というわけで動物を飼い始める。いわら子育てのリフレイン。小学校時代の同級生たちが、「みてみて、シバ犬界のキムタクでしょ」「あら、タエちゃんちのよりうちの来夢(らむ)の方が美人よネ!ボールって言うとボール、タオル持ってくるから、偏差値だって75よねぇ」親バカおしゃべりに耳を傾けるのも楽しい。知り合って40年、友だちっていいなぁ・・・命と向き合う仕事のハザマに、こうしてホッとするひとときがある。

適度に非衛生な生活

つい先日、「ためしてガッテン」ときうテレビ番組を見ていたら、アレルギーを予防するには「動物を2匹以上飼うことというのがあった。
昔アレルギーが少なかったのは、子供の数が多く、すきま風の吹く造りの家、そして非衛生的な生活がよかったらしい。少子化に変わって動物の多頭飼育がおすすめ、というわけだ。。
そう言われてみると、私の友だちで子どもがアレルギーの家はママがきちんとしていて、我が家よりずっと衛生的な暮らしをしている。
なるほど、共働きで年子三人、、犬・猫・ウサギ・ハムスターもいる、我が家族には一人としてアレルギーはいない。
免疫つけていたんだ?!と都合よく解釈し、大いばり出。「動物(ホモ・サピエンスを含む)いっぱい飼いなさーい」と超えを張り上げている私である。

春一番にご用心

パンジー、沈丁花に春の香りを感じるこの頃、もうひとつの春の訪れを示すものに春一番がある。これがある家に、思いがけない出来事を招いた。
Sさんは、川沿いのベランダを思いきり開いて空気の入れかえをしていた。そこへママが帰ってきて、「ただいまー」と玄関の扉を開けた。その瞬間に春一番の突風が吹いたのである。喜んでお迎えに出たミニチュア・ダックスのベルちゃんはリビングと廊下の前で待っていたので、その風が吹きぬけた拍子に境のドアがバーンと閉まり、一瞬のうちにはさまれてしまった。
「キャンキャン」の声に、Sさんは泣きながらすっ飛んできた。体の真ん中をはさまれたのが幸いして。炎症を抑える注射で翌日には落ち着いた。
はさまった部分が尾だったり足の先だったら骨折していたかもしれないし、扉が目に当たっていたら失明していたかもしれない。
季節季節の突風、強風にはご用心、春めく前にご用心。ちょっとそんなことをお伝えしたくなった私でした。

略語談議

ある会合で、「スタバで待ち合わせ」と言ったところ「スタンド・バー」だと思った中年紳士がいた。「スターバックス知らない?」と言ってしまい、略語談義に。ファミレス=ファミリー・レストラン、ミスド=ミスタードーナツ、トリセツ=取り扱い説明書、ヒャッキン=百円均一、レスカ=レモン・スカッシュ・・・まあ、いろいろあるのにびっくり。
なんでも短縮してしまう現代人。”動物のしつけはゆっくりね”と言いたくなった。

「ハムスター 」の由来

空飛ぶハムスターのコラムを載せましたら、小学生から手紙がきました。「ハムスターはなんでスターなのですか?」おもいがけない視点からの子どもの質問は手ごわい!
調べてみると、ドイツ語の『hamstern』が「食糧を買いだめする」という意味で、そこからの由来らしい。自由に伸び縮みする頬袋に多量のエサをため込む習性があるからです。
それで夜行性のハムスターには、夕方エサをあげるのがお勧めなのです。この頬袋にエサを詰め込みすぎると、せっかくためた食べものが腐ったり、炎症が起きて頬袋が反転して飛び出したりして、私たちの病院に連れてこられるのです。
「もし、頬袋があったら、右に夢、左に思い出詰め込んで、時々かじるんだ」と友人に話したら、「消化しきれるくらいにしとけよ」と言われた欲張りな私でした。


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