一生伸び続ける兎の歯の病気


・ウサギの歯ってどんなの?

 ウサギの口は小さくて、奥の方まで見えないので、前歯(切歯)しかないように見えますが、
ずっと奥のに臼歯があって、片側で上顎に6本、下顎に5本あります。
げっ歯目のハムスターやリスと違って、たえず伸び続けます。

 また、切歯は正面からみると、上と下に2本ずつ見えますが、上の2本の裏側に、
小さな2本が重なってはえているので、それもげっ歯目と違うところで、重歯目(兎目)と呼ばれています。

 兎の切歯は、1ヶ月に1センチほどの速さで伸び続けます。
でも、餌を食べるときに、歯をたえずすり合せているため、丁度良い長さを保っています。

 もちろん犬歯はなく、全部で28本です。
ちなみに人は32本、犬は42本、猫は30本、ハムスターは16本です。

ウサギの歯の病気はどんなものがあるの?

前歯が伸びている・・・・「切歯の不正咬合」
 受け口のように上顎の大きさが合わないと、前歯のすり合せが悪くなり、
異常な方向へどんどん伸びていってしまいます。
対側の歯がない、神経の異常でうまく噛めない、奥歯の異常で口が閉じないなどのことでも
同じように前歯が伸びていまいます。
 長くなったら短くする必要がありますが、矯正的治療といって、
こまめに歯の長さや角度を調節することで、歯の咬み合わせが良くなることがあります。

よく咬めない・・・・「臼歯の不正咬合」
 歯をたくさんすり合わす食物を与えていないと、臼歯がだんだん長くなり伸びる向きが変化していきます。
上あごの歯は頬の方へ下あごの歯は舌の方へ、伸びていくことが多く
そのうちに粘膜が傷つくようになり、食べることができなくなります。
頬の外側から触れるといやがったり食べたいけど食べれない、よだれが多いなどの症状が見られます。 
確認のため、動物病院では耳鏡を使って口のなかを覗いたり、X線検査などが行われます。

歯がない・・・・「歯の欠損」
 ぶつかったりして歯に強い力がかかって折れたり、
歯根部が炎症を起こして歯が抜けてしまうことがあります。
感染があれば抗生物質を使用します。対側の歯が伸び過ぎないか、注意が必要です。
途中で折れた場合は1〜2週間で伸びてくるでしょう。

あごや頬が腫れている・・・・「歯周炎・膿 ・腫 」
 歯の周りが化膿したり不正咬合で頬が傷つき化膿すると膿瘍ができて、あごが腫れてきたりします。
まれには腫瘍ができて徐々に腫れてくることもあります。
ウサギの化膿は治りにくいことがしばしばあります        


*予防*

 「切歯の不正咬合」
 少しでも咬み合わせが悪いとどんどん歯が伸びてしまうので、早めに動物病院へ連れて行きます。
治療が遅れると伸びる方向がさらに悪くなってしまい、歯を短くしてもすぐに伸びてしまうようになります。


 「臼歯の不正咬合」
 草など繊維質の強いものを水平にすりつぶす時に、歯どうしが少しずつ
磨耗して適切な長さを保っています。
歯を使う回数が少くないペレットや軟らかい食物(バナナ・パンなど)を多く与えていると、
歯が伸びやすくなります。
繊維が多く含まれる干草(チモシー)を主体にした食餌にすると良いでしょう。

 「歯の欠損」

 高い位置から落ちたりしないように、なるべく座って抱くと良いでしょう。
対側の歯が磨耗しにくくなりますので、よく観察します。

 「歯周炎・膿 ・腫 」

 食餌を食べにくそうにしていたりよだれが多い、顔が腫れているなどの症状がある時は、
できるだけ早く動物病院へ連れて行きましょう。
検査及び治療のために麻酔が必要かもしれません。
歯の不正咬合に伴って起きやすいので、歯の不正交合の予防を行います。


*歯のコラム*

 ある日 シロちゃんがよだれを流していました。
「餌を食べたそうにするのに、一口食べるとプイと後ろを向いて痛そうなの」と家の人は心配そうです。
口のなかを覗いてみると、上の臼歯が斜めに長く伸びて頬に刺さっています。
そこが赤く腫れて出血しています。  兎の歯は、人と違って門歯も臼歯も一生伸び続けます。
上下の歯がうまく噛み合わさっている時はよいのですが、ひとたび咬み合わせが悪くなると大変です。
バラのトゲのようにピンと片側が伸びて、頬や舌を傷つけてしまいます。 
早速、麻酔をかけて丁度良い形と長さに歯を削りました。
口の中の痛みがとれたシロちゃんは、モグモグ餌を食べ始めました。

 兎を飼ったら、軟らかい物ばかり与えないでね。
でも硬い物を与えていればすむという問題でもありませんおすすめは牧草です。
ゴリゴリ食べるので歯がすりへってこの病気(不正咬合)の予防になりますよ。