困っちゃう人

 きょうは、獣医師にとってこまっちゃう人シリーズです。
そっと教えるので、みんなは大人になっても、そうならないでね。

 まず、一番多いのはウソをついちゃう人です。
本当は一週間前から食欲がないのに、先生にしかられると思うのか、
「急に食べなくなって……」。
「じゃあ、少し変だなと思ったのは、いつからですか?」と、
質問をかえてみると、「実は……」と白状します。
いそがしくて、つれて来ることができなかったんですって。


 次に多いのは、動物がいとしくて、こっそりごちそうあげて、
ブクブクに太らせちゃう人。
肥満は動物にとっても万病のもとなので、要注意人物です。


 こういう人もいます。しつけが上手にできていないだけなのに、
「うちのイヌ、ちっともいうこと聞かなくて。
バカじゃないかしら」と、イヌのせいにする人。
このイヌは、病院ではピッということを聞く優等生で、けっしてバカではありません。
なぜでしょうか? イヌは順位づけをする動物なので、自分の地位を決めるのです。
つまり、わたしたち獣医師が一番、次に自分(イヌ)、そして飼い主……と、
イヌのほうがりこうで飼い主よりえらくなっているので、いうことを聞かなくなってしまったのです。

 たまに、病気や薬の説明をよく聞かない人もいます。
家族のことなのにね。


 待合室でいっしょに待っているとなりの動物を、先生より先に診察しちゃう人だっているの。
「おたくのネコ、この食事にしたら?」。ちょっと待ってよォ……、とわたしたちはドキドキ。

 それから、待合室で気をつけてほしいこと。
かわいくても、やたらにほかの動物をさわらないでね。
こわがりのイヌにかまれたり、興奮したネコにひっかかれたりすることがあるからです。

 ときどき、夫婦げんかを始める人もいます。
「だから早くつれていけっていったのに!」「わたしのせいだっていうの!?」。
動物は、自分の病気より、けんかのほうが心配になります。


 でもね、こまっちゃう人も、やっぱり動物大好きなのです。