口と鼻の周り


ウサギの口のまわりって、どんなの?

 兎の鼻は、犬や猫と違って湿ったツヤツヤした鼻鏡はなく、全部毛で被われ、普通は濡れていません。
鼻(鼻孔)のまわりが汚れている時は、病気で鼻の穴(鼻腔)から分泌物が出ているときです。


 ヒゲは発達していて、触覚の働きをもっています。


 上の唇(上唇)には、裂け目があり、口の粘膜が鼻まで続いていて、兎唇(ミツクチ)となっています。
犬や猫と比べると、口の開口部は小さく開けにくいので、口の中を調べるのは大変です。
なお、唇は、乳を吸うホ乳類特有のもです。


 首のところには、ヒダがあり、メスでは発達していて肉垂と呼ばれています。
ヒダの隙間が蒸れて、湿性皮フ炎を起こすことがあります。

 敵から身を守るため、目は真横についていて、ほぼ360度見ることができるようになっています。


◯口の周りの病気・事故

 よく見られる病気として、化膿し膿がたまり、顔の一部が腫れてくる膿瘍があります。
人や犬、猫などでは、適切な抗生物質を使い切開するなどして膿を排泄すれば、ほとんどの場合は良くなるのですが、兎の場合、大変直りにくい病気の一つです。


 抗生物質感受性試験を行って、良く効くと思われる薬を使用したり、手術をしたりしても、
再発することが多いです。
特に、歯根(歯の根元)や骨に感染があると、完治は難しくなります。

 兎の膿は、クリームチーズのようにドロッとしていることや、抗生物質が侵入しにくい固い肉芽組織などが形成されることなどが、治りにくくしていると思われます。
膿瘍ができる原因には、臼歯(奥歯)の不正咬合により、伸びすぎた歯が、口や頬を傷つけたり、
他の兎に噛まれたりすりことで、組織の中に細菌が入るからです。


 口の周りによだれが多くなることがあります。
歯の不正咬合や口の中の異物により、口内炎が起きた時や中毒・車酔いなどが原因でおきます。


 鼻汁やくしゃみが出たりするときは、一般的にフル(鼻カゼ  )と呼ばれています。
パスツレラ菌という細菌や他の菌が鼻の粘膜で増えて炎症が起きます。
パスツレラ菌の感染では慢性かすることが多いでしょう。
皮膚が耐えず濡れていると、慢性の皮膚炎が起きやすくなります。
口の周りがよだれで耐えず濡れていたり、鼻水や涙で耐えず濡れていても、
細菌が増えやすくなり、炎症が起きて、赤くなったり、毛が抜けたりします。


◯ウサギの口の周りの病気・事故の予防 

 膿瘍:兎同士の喧嘩が起きないようにします。
特に仲の悪い兎は、別にして飼いましょう。
臼歯の不正咬合の場合は、できるだけ早めに治療を受けるようにしましょう。
歯をなるべくたくさんすり合せることが必要なので、臼歯同士の磨耗を助ける干草(牧草・チモシー)を主体にします
 

よだれ(流涎):歯の病気の予防に努める他農薬のついた野菜や中毒を起こす観葉植物を食べさせないようにします。


スナッフル:気候の変化・湿度・食事・水などに気をつけ、ストレスを少なくしましょう。
パスツレラ菌を保菌している兎では、特に注意し、異常があるときは早めに動物病院にかかりましょう。


湿性皮膚炎:皮膚がぬれる原因をとりのぞき、治療したあと、炎症を抑える薬や消毒薬でまめに手入れをしましょう。


口のまわりエピソード

 「開いた口がふさがらない」という慣用句がありますが、実際に兎の口が閉まらない時は大変です。


 絶えず舌を動かして、口を閉めにくそうにしている時は、口の中に何かはさまっているときか、
不正咬合で歯がうまくすりへらずに伸びすぎて、口の中が痛いときです。
よだれが多くなったり、口を床にこすりつけたりして、教えることもあります。


 口がガクガクさせて、閉まらないときは、神経の異常です。 
脳の異常であるてんかんなどで起きます。

 熱射病でも、症状がひどいと、口が閉まらなくなり、口から泡をふくようになります。
車の中・兎小屋・マンション等、風のないところに数時間放置しているだけで命取りになる病気です。

 口の中・歯茎・舌・顎の骨に腫瘍(癌)ができても口が閉じなくなります。
「口は いのもと」というわけではありませんが、口だけでなく、体中いろんなところの病気の原因もあるので、口が閉まらないときは早めに病院へ行ってね。