1 皮フ・毛・爪ってどんなの?
1皮フと毛
飼いウサギ(アナウサギ)の赤ちゃんは、生まれた時は赤裸で毛が生えていません。
生後4日くらいで毛が生え始めます。
全身をつつむフカフカの毛は保温の役目をしています。
油毛があり、水がかかっても浸み込まないようになっています。
尾の毛はうら側が白く、危険を感じると尾を立てて白いところをみせて仲間に知らせたり、プロポーズのサインにもなります。
イヌやネコと違うところは、足のうらにフットパット(肉球)がなく、全部毛でおおわれてフカフカです。
1年に1〜3回、主に春と秋には抜毛が見られ、夏毛と冬毛に生えかわります。
皮フは、けんかや外傷などで細菌が入ると、皮下に膿瘍(アブセス)といって、膿のかたまりができやすく、治りにくいのが特徴です。
妊娠したり偽妊娠という状態になると、最終3〜4日にメスは巣材を集めたり、自分の胸や足のつけ根の毛をむしって巣作りをします。
これは出産の準備なので、毛が薄くなったり、なくなったりしても病気ではありません。
爪
爪の根元のピンク色のところは、血管や神経がとおっているところです。
爪が伸びすぎると、丸まったり、横にななめに伸びたりします。
2 皮フ・毛・爪の病気
皮フと毛に異常が出てくる病気は、いろいろありますが、主なものについてお話します。
A .細菌によるもの
1 皮下膿瘍:けんかや外傷により皮下で細菌が増えて膨らみます。
2 スナッフル:クシャミや鼻汁が出るため、鼻の下や周りの皮フが汚れて毛がめけることもあります。
前足で鼻汁をこするので、前足の先の毛がベタベタしていることもあります。
3 湿性皮フ炎:のどの下や肉垂のたるみのところが湿った状態になり毛がぬけたり、皮フが赤くなりま
す。
4 飛節びらん:遺伝や肥満、床の材質、運動不足などにより、足のうらの皮フ炎がおき毛がぬけてタコの
ように皮フが硬く赤くなる。
B 真菌によるもの
5 皮フ糸状菌症:糸状菌により皮フはカサカサし、フケや脱毛をおこします。
6 カンジダ症:酵母菌の一種が、皮フや爪で増殖し、爪が変形したりします。
C 生虫によるもの
7 耳ダニ:ウサギキュウセンヒゼンダニの 生のより耳の中に黒いかたまりやカサブタがみられ、臭くな
りかゆがるので、耳の外にひっかき傷ができたり頭をふったりする。
8 コクシジウム症:コクシジウムという原虫が腸粘膜に 生し下痢をおこすため、おしりの周りの毛が汚
れたり毛がぬけたりする。
D その他
9 不正咬合:歯の咬み合わせが悪くなり、歯が伸びすぎて、舌や頬を傷つけて、痛くてよだれあが多く出
るので口の周りの毛が汚れたりします。
10 毛球症(胃停止):毛の抜け替わりの時期に毛をなめむしったりして、たくさん飲み込んだり、胃腸
の運動機能が低下すると、胃の中で毛が固まり流れにくい状態になります。
11 腫瘍:乳癌などの腫瘍ができると皮フがふくれたり、ゴツゴツしてきたり、分泌物でゴワゴワしたり
します。
12 爪の損傷:爪が伸びすぎていると、ひっかけて折れて、血が出たり爪がブラブラして痛がったりしま
す。
3 皮フ・毛・爪の予防
A 細菌によるもの
1 皮下膿瘍:一つのケージにたくさんの兎を入れると、一匹当たりの面積が少なくなり、イライラし、
必ず激しいけんかをしたり、けがをしますとくにオス同士の同室は、さけましょう。
2 スナッフル:パスツレラ菌を持っている兎は隔離し、他の兎に移らないようにしましょう。環境や栄養
をよくして、日頃から体力や免疫力をつけ、少しでも気になる症状が出た時は、早めに病院へつれ
ていきましょう。
3 湿性皮フ炎:誘因による不正咬合や床材・給水器を改善し、皮フや毛が汚れないようまめにそうじや
皮フの手入れや治療をしましょう。
4 飛節びらん:床の改善(やわらかく吸湿性のある床敷を厚めにしてまめに変える)の他、兎が肥満や
運動不足の場合は、エサなどで環境を改善する努力をしましょう。
B 真菌によるもの
5.6 真菌症:ぬけ落ちた毛や皮フに胞子がついて移っていくので、小屋の消毒をまめにしましょう。
感染している兎と無症状で持っている兎は隔離し、抗真菌剤を投与します。
C 生虫によるもの
7 耳ダニ:飼い始めたときに、耳の中に分泌物がないかよく調べます。耳ダニがいる兎はしばらく隔離し
て治療を行います。
8 コクシジウム:はじめは検便をまめにし、早期発見と治療をするとともに、排便の処理をきちんとし、
感染している兎は隔離する。
Dその他
9 不正咬合:干草を中心にし、歯がすりへるようにし、定期検診で歯のチェックをしましょう。
10 毛球症(胃停止):干草を中心にし、胃腸の運動が活発になるようにすると共に、むだ毛をなめない
ようまめにグルーミングをする。
11 腫瘍:避妊をしたり、免疫力をつけ、誘因になるようなストレスをさける食餌や環境にしましょう。
12 爪の過長:爪をひっかけないようようにまめに切りましょう。ケージの下が金網だったり、ループの
ある毛足の長いじゅうたんは、爪をひっかけやすいので気をつけましょう。
4 皮フ・毛・爪のお手入れ術
病気の早期発見とコミュニケーションをかねて、一日一回ブラッシングをし、さすってみて、毛が柔らかくサラサラしているか、汚れていないかなどをよく観察しましょう。
毛に逆らって、かきわけて皮フの状態を見るとよいでしょう。
背中側だけでなく、おなかの毛もとかしましょう。
春と秋は毛が生え替わるので、特に念入りにしましょう。
くしの替わりに、ガムテープでなでるようにしても、ムダ毛がよくとれます。
また長毛種(アンゴラ)は、毛玉になりやすいので注意しましょう。
ケージがフンや尿で汚れていると、その汚れが毛について病気がみつけにくくなるのでまめにそうじをし、
衛生管理に気をつけましょう。
爪は伸びすぎないように定期的に切りましょう。(2ヶ月に一度くらい)
深爪になると痛くてこりてやらせなくなるので、先の白っぽいところだけを切りましょう。
自信がない人は、動物病院に連れていくとよいでしょう。