28年前の手紙から

ポストに大きな郵便が届き、開けてみると古い手紙の束が出てきました。「若き日のOちゃん(昔のニックネーム)をお届けします」メモが入っています。1973年つまり昭和48年4月からの4年間、私の大学時代に、高校の担任の先生にあてたものでした。

28年前、獣医学科に入学が決まったときは、女子学生もまだ20%でした。高校は女子校で獣医学科へ行く卒業生はいなかったので、心配した先生に、獣医学科はどんな所か知らせる約束をしたのでした。私が「獣医学校の実態はこれだ新聞」を作り、母校に送り続けていたものを、先生が28年間もとっておいて、このたび送り返して下さったのです。

少し茶色くなって、カラーペンも色あせていますが、字も絵も当然のことながら昔のままです。何だか昔の自分に会うようでドキドキ。まず目に入ってきたのが学食(大学の中にある食堂)の値段が書いてあるページ。みそ汁10円、カレー80円、うどんそばのかけ40円、天ぷらうどん60円、ラーメン80円、カツカレー100円、定食120円だって。

4月の新聞・・・この大学は女子用トイレが少なくて、教室が終わると休み時間はトイレ探しで終わります。内科の先生は「女がチラチラ多すぎるなぁ。おまえたちのせいで大の男が夢を棒に振ったんだぞ。」が第一声。女だって夢も希望もあるのに・・・マ、男に負けずにがんばれと言ったと思うことにしましょう。

5月の新聞・・・はじめての実習の日。少数なのに女子が権力を握っていて、細胞分裂のスケッチなどもよい場所を占領しています。器具を洗ってしまうだけで終わりましたが、試験管を2本も割ってしまいました。「1本はいるけど2本は珍しいぞ」と言われました。トホホ。

時代が変わって、今は女子が60%の獣医学科で、女性のハパワーはさらに上昇中。男まさり、男だてら、なんていうこ言葉は死語になりそう?!それにしても毎月発行していた新聞を大切に保存して下さった先生に、教育って心を紡ぐこと見守ること。そんな気持ちになりました。