動物との出会い


 今回は、わたしが初めてイヌと出あったときの写真を見せましょう。
場所は、父の上司の家の庭。
このころスピッツがはやっていて、どこの家にも白いイヌがいたのです
(いまなら茶髪のミニダックスフントかな)。


 父が仕事の話をしている間、わたしはずっと芝生の上でイヌと遊んでまっていました。
父の用事が終わった後も、わたしはまだイヌといっしょにいたくて、とうとうわたしだけ、この家にとまってしまったのです。
たしか小学二年生くらいだから、このころから動物大好きで、いい出したら聞かない子だったのかもしれません。


 四年になったとき、クラスの友だちの家に子イヌが二匹うまれました。
写真を見ると、茶色でモコッとしてかわいいの。
もらい手をさがすため、先生が「ほしい人」と、みんなにたずねました。
わたしはぜったい飼いたかったし、当然みんなもそうだろうと思ったので、思い切り大きな声で「ハーイ!」

 ところが、手をあげたのは、ちょうどふたりきり。
「よし、決まり」となったのですが、さぁ、大変!! 家の人に何ていおう……。
しかたなく、「くじ引きだったの。わたしがことわると、また授業をつぶすことになるの」と、ヘンテコリンなうそをつきました。
この子イヌは「ロン」という名前をつけてもらって、めでたく家族の一員になりました。

 ロンは雑種のふつうのイヌでしたが、いっしょに散歩をしていると、考える時間をいっぱいくれました。
「そうだ、獣医さんになろう」と決めたのも、ロンとの散歩道の善福寺公園。高二の春でした。

 理由は、つみ重ねができる仕事、心がつたわる仕事、男性でも女性でも同じように実力におうじてできる仕事、理系・文系のわくをこえてできる仕事、年をとってもつづけられる仕事……と思ったからです。

 思えば、初めて出あったスピッツ、必死でうそをついたわたし、それを丸ごと受け入れてくれた両親、そしてロンがいて、いまの生活があるのかもしれません。

 みんなには、どんなドラマがまっているのかな? 
みんなの人生のシナリオづくりは、もしかしたら、もう始まっているのかもしれません。